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2008年04月18日(金)・「タクシー4・俺は外人」
 知人のタクシー運転手と話した時に、私がタクシーに乗る時の基本的会話を言ったところ、私はかなり丁寧な優良客であるらしい事が最近わかった。
 最初に、
「お願いします」
と発し乗ってくる客は、実は少ないのだと知人は言っていた。
 かなり横柄にぶっきらぼうに行き先だけを告げ、さっさと行かんカイ的客が多くて、不愉快に成ることが多いと知人は言っていた。
 そんな不愉快さは当たり前で、近頃は気にもならなくなってきたとも言っていた。

 つまり逆説的に言えば、丁寧な事イコール、オドオドしてるイコール、良く扱ってもらいたいイコール、タクシーに不慣れ的な印象を運転手さんに与える場合も有るようだ。
 優良運転手さんなら良い仕事をしてくれるのだが、非優良運転手の場合、
(フン、こいつはタクシー乗るのに慣れてネェな)
(おうおうおう、俺はおめぇの事乗せてやってんだからな)
(ちっとぐらい遠回りしてもわかんねえな)
そんな態度丸出しになる場合がある。
 しかし、私に対してそのような態度をとった場合その非優良運転手は、自分の言動を後悔する事になる。

 そのパターンとは違うのだが、
「お願いします」
「はい、どちらまで?」
「えーとですね、XXXまでお願いします」
「駅で宜しいですか」
「はい、あーーー、この辺良く知らなくて、、、上手く説明できないので、景色見ながら・・近くまで行ったら・・・言いますから」
「幹線道路に出て、走れば良いですか?」
「ハイ、それでお願いします」

 先日タクシーに乗ったときの運転手さんとの会話。個人タクシー。つまりベテラン。
 その運転手さんは、私の丁寧な乗車ぶりを見て、タクシーに不慣れだと思ったようだ。

「上手ですね」
「?」
「もうどれくらいになります?」
「え?」
「日本語上手ですよね。日本は長いんですか?」
「ん?」
「ほんと上手ですよね」
「!」
「もう何年ぐらいになるんですか?」
「はははは、俺の日本語上手くないですかね?」
「いや、ホント上手ですよ、日本人と変わらないですよ」
「はははは、運転手さん、俺日本人だよ」
「え!―――そうなんですか?」
「ははは、そう純正日本人ですから」
「これは失礼致しました」
「いや、いいんだよ」
「えぇ、あの、喋り方が、いや、あの、その、ですね、ゆっくりで、だったから、いや、あのホント、失礼しました」
「いや、いいんだよホント」
「あの、なんていうか、その・・・」
「外人に間違われるなんて無いからさ、外人扱いされるってのも楽しいもんだよ。外人ぽく喋ってた?」
「いえ、ホント、上手・・・て言うか、外人さんにしては・・・いや、普通に聞こえたんですけど、あ、変に、聞こえたわけじゃ・・・」
「いいよ、いいよ、気にしないで」

 その運転手さんは、私の丁寧な乗車ぶりを見て、タクシーに不慣れだと思ったというより、日本に、日本語に不慣れだと思ったようだ。

「いいんだよ、運転手さん。外人に間違えられるなんて、滅多に出来ない経験で楽しいよ」
「イヤ・・・・顔立ちが・・・・イケ面・・・で・・・だから・・・・あ〜〜・・・・で〜〜」
「ホント、いいんだよ。楽しいよ」

 困った運転手さんは、ヨイショの道へ入り込もうとするのだが、あっちにフラフラこっちにフラフラ、なんか千鳥足の酔っ払いみたいで、それを見ているのも失礼ながら面白い。

 ちなみに私のいでたちは、ニューヨーク・ヤンキースと描かれたトレーナー。
 肩には、バドワイザーをアレンジした派手目のバッグ。
 運転手さんに、何人に勘違いしたのかは聞かなかったが、ジャパニーズ・アメリカンにでも思われたのか知らん。
 外人の振りをしてして喋り続けても面白かったかもしれないが、人をからかうようでそれは私の趣味ではない。

 その後は、ややあって普通に日本人同士の会話に戻ったが、ちょっとよじれた空間を楽しんだ一時でした。

 運転手さん、優しい運転手さんの人間性も垣間見えたし、楽しませて頂きました。気にしないで良いですから。



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