「小野さん、死んだ後にぃ隠してあったエロ本とか見つかったらかっこ悪いと思いませんか?」 「いや、別に」 「え、そおっすかね」 「第一、俺エロ本持ってねぇから」 「自分持ってるんすよねー。死んだあと見つかったらどうしようかと思って」 「はっはっはっは・・・・・、良いじゃん死んだ後どうなったって。どう思われたって」 「自分、見つかっちゃいけないと思って、今一生懸命処分してるんすよ。カミさんならまだ良いけど、将来娘とかに見つかったらカッコ悪いっすからねー」 「ははは・・・、じゃあ処分しときなよ」 「自宅の方は、OKなんすけど・・・・・仕事場の方にまだ一番エグイやつを残してあるんすよねー」 「そんなに沢山持ってるのか」 「いや、だいぶ減らしたんすけど」 「君、それが心配なうちは死にたくても死ねないだろ」 「いや、ホントそうっすよ」 「君はきっと長生きすると思うよ」 「そうっすかね」 「エロ本、少し手元に残しときなよ。そうすれば処分するまで死ねないと思って、君は長生きするよ」 「そおっすかねー。長生きしますかねー」 「きっと君が、エロ本を全て処分しようなんて思ったら、それは死期が近いって事だよ」 「処分したら、死にますかねぇ」 「うん、きっとそれは死ぬ時だよ」 「じゃぁ処分出来ないなぁ・・・・・」 「それよりあれだな」 「?」 「四十をいくつも越えた君が、エロ本を買っているって事に俺は感動するよ。ある意味」 「そうっすか?」 「離れた所にあるコンビニじゃなくて近所のコンビニで買うってのが、また凄いよな」 「え?」 「君が、証拠隠滅のためにいくらエロ本処分しても、君がエロ本を買っているという行為を目撃している人は近所に一杯居るんじゃないか?」 「!!・・・・・(ニヤリ)大丈夫ですよ。コンビニの薄い袋から透けて見えないように、普通の本を余分に2冊買って、その間にエロ本を挟んで外からは見えないようにしてコンビニ出ますから。・・・・完璧ですよ!ふふふ・・・」 「―――そ、そうか・・・・か、完璧・・・・だな・・・・・きっと・・・」 「そこんとこ抜かりはありませんよぉ。ちゃんとエロ本真ん中にして袋に入れろって店員に指示出しますから」 「そうか・・・・・・そうか・・・・抜かりは・・無い・・・か・・。店員に指示まで出すのか・・・・。君、堂々としているんだかコソコソしているんだか分からないな・・・。でも、そしたら店員に口止め料を払う必要があるな・・・」 「イヤ、業務上知りえた事は守秘義務がありますから」 「意識の高い店員なら良いけど・・・・。でもな、買うなら堂々と買ったほうがいいんじゃないか?」 「えっ?」 「正々堂々と普通に買えばいいじゃないか。店員に指示まで出せるんだろ」 「店員は店員ですから」 「分けワカンネェな」 「とに角、堂々と買うなんて、それは出来ませんよぉー」 「なんで?」 「いい年して、そんなこと出来ませんよー」 「いい年だから、堂々と買えるんだろ」 「そおっすか?」 「そうだよ。恥ずかしさや後ろめたさがある分けじゃ無いだろ」 「イヤ、後ろめたいっすよ」 「そうなの!?だったら買うなよ」 「うっ・・・・いや・・・・でも・・・・まあ・・・・そこが難しいところなんすよ」 「どこも難しくなんかねぇだろ。エロ本買っても良いと思うよ、俺は。人がどう思おうが良いじゃん、君が買いたいなら。それに別に死んだ後に残っていたって良いじゃん」 「そおすかねー」 「きっと君の若さは、エロ本買いにあるんだよ。これからも気にせず買い続けた方が良いかもしれないな」 「でもなー、・・・死んだ後娘に見つかったら・・・格好悪いし・・・・」 「買わないとストレスが溜まっちゃうんじゃないか」 「そうなんすよねーーーーー」 「買わないと、死んじゃうぞ」 「やっぱ、そうっすかねぇ」 「はははは」 「うーん。悩むところだなぁ」 |