私は若い時20代中盤、フランスに2ヶ月弱滞在した事がある、パリ16区。 スーパーにケースで山積みされているような安い赤ワインを良く飲んだ。銘柄なんぞ気にせず、がぶがぶ飲んだ。 「ん!この赤美味いな」 と感じラベルを見るとボルドー産の場合が殆どだった。 だから、その経験以来、私はボルドー産のワインは美味い、私の口に合うと妄信している。 そして当時、知ろうとも思わなかったが、それ以上の細かいことを知りたくても私はフランス語を解していなかったのでラベルを解読する事は不可能だった。そしてその事は今も変わらない。 ボルドーは良い!と思い込んでいる私だが、日本で同じ位と思われるレベルのボルドーワインを飲むと、 「なんだよ、これがボルドーかよ。ナンカ違うよな」 と思うことが多い。 輸送の関係で味が劣化したり、気候の関係で美味く感じなかったりするのだろうか。 だがそれでもボルドー産のワインは美味いという妄信は、変わる事無い。 その基準は、極めて私的基準である。 私のワインに対する判断基準は、客観性ゼロ主観100%の、 「美味い、普通、今ひとつ」 の3段階しかない。 時々、 「凄く美味い」 と、 「マズイ」 が、出現する。 そんな時は大概、 「凄く高い」 とか、 「安い」 と条件が併記されるべきな時が多い。 ばらつき、好みの違い等あるが、総じて言えば”味は値段に比例する”と思っている。 ただ一ついえることは、ある同じ物――この場合ワイン――を高級店で高い金払って味わって美味いと思い、大衆店で安目に飲んでこんなもんかと思うようなヤワナ味覚には成りたくないとは思っている。 また、"好み”は千差万別なので他人の判断をとやかく言うことは無い。 世の中、 「ええ!これをか!!?」 と思うようなものを好む人を私は複数見ている。そして「ええ!これをか!!?」族の一員として、価値観の押し売りは出来ないし、しない。 ま、その証明として、私は結婚している。 【ジエチレングリコール】 ご記憶の方も多いのではないだろうか。 1980年代半ば、オーストリア他、複数の国でワインに添加された物質である。そして死人が多数出た。中毒。 不凍液等に使用される物質で、ワイン等に入れると甘みと重みが出るとされた。そして添加混入発売購買飲酒死亡。 昨年末、某所にて某ヨーロッパ有名産地産ワインの3本ギフトセット購入。 勿論人にあげるためではなく自分で飲むためにである。 あるワインの同一銘柄の2004年、2005年、2006年産の3本セット。安売りで確か3本で4000円くらいのセット。お店で飲んでも1本5000円前後と思われる。 私は、数日掛けて2006年産から2005年、2004年と若い順に飲んだ。 美味しいものは後に取っておくのだ。 2006年産、 「ん?これがあそこのワイン?―――2006年のはやっぱり若いな、でもこんなもんか」 2005年産、 「ん?ん?確かに甘みと重みは2006年産よりもあるけど・・・・・これ熟成した深みと違うんじゃないか・・・・・。―――ナンカ混ぜてんな・・・多分」 2004年産、 「ん?ん?ん?これは、絶対混ぜ物だ。重みと深みはさらに増したが、ナンだ、この混濁液を飲んでいるような感覚。金属的な重みと甘さ。一見深みが増したような錯覚を起こすが、隣に2006年産と同じ若さが同居しているじゃないか。大体一年ごとにここまで大きく味は変わらねぇだろ普通」 私の出した推定的結論は、 「多分物は全部2006年産の安いワインなのだろう。それに混ぜ物の分量を調節する事によって2005年産、2004年産とラベルを貼ってセットにしたのだろう」 「奴等、何か新しい混ぜ物を発見しやがったな・・・・・・、なめやがって」 そして先に挙げた20年以上前の、ジエチレングリコール事件が思い出されたのである。今、ジエチレングリコールが混入されているとは思わないが・・・。 しかし、なぜそんな混ぜ物くらいでがたがた言うのか。と言う人も多いだろう。 いちいち気にスンナよ。と言う人も多いだろう。 だが。 ・・・・なぜならば・・・・・。 私は、・・・・あのワインを飲んでから・・・・体調が悪い。 2週間以上たった今も・・・・体調が悪い。 死亡には到ってないし、程遠いが・・・・・体調が悪い。 確かに正月の激しい飲酒期間もあった、他の酒も沢山飲んだ。 だから、あのワインだけが原因ではないかもしれない。 私の当てに成らない味覚は、あのワインに因縁をふっかけているだけかもしれない。 だが、しかし、私の科学的根拠の無い主観は、 「あのワインには絶対混ぜ物が入っている。あれが原因だ」 と現時点で決め付けている。 ちなみに2006年産、2005年産は、私ひとりで飲んだ。 2004年産はカミさんが三分の一くらい飲んだ。 私の主張を聞いたカミさんは、 「アタシは、なんとも無い」 ひょっとして、言い掛かりか? だが待て、 「おめぇーは、チョッとしか飲んでねぇだろ」 ジエチレングリコールの時もそうだったが、少ししか摂取していない人はなんとも無かったのだ。あの時は摂取酒量の多い人が中毒死したのだ。 今回私は、カミさんの数倍の混ぜ物を摂取している可能性が大きいのだ。 そして私はワインに限らず、安酒、混ぜ物に対して昔から抵抗力が弱いのだ。そのことは私の友人知人の一部及びカミさんは知っている。それなのに私は安酒ばかり飲んで悪酔いして人に迷惑を掛ける。イヤ、今はそんなことはどうでもいいそうじゃないんだ。 とにかく!私の身体は、安酒リトマス試験紙なのだ。 某国某有名産地のどっかのワイン業者に告ぐ、 「たとえ合法でも、変な混ぜ物は止めなさい」 さもないと私が悪酔いして、他人様に迷惑を掛けてしまう。 イヤ、私が人生もう少し頑張って高級酒を飲めばよいのだ! イヤ! そんなことは微塵も考えないが・・・・・・酒を・・・・・・・・・・・・・・・・・止めれば良いのだ――――。 |