ガツンッ! (やられたっ!) 後頭部を後から、鈍器のようなもので・・・・。 そのまま昏倒しかけるが、倒れながらも意識を取り戻した。 そう思ったんだ、その時は・・・・でも・・・・事実は・・・・ちょっと違った・・・・イヤ、かなり・・・・。 閉店時間を若干オーバーして閉店した後、酒を飲みながら厨房で低い脚立に座りノートパソコンをいじっていた。 私は、パソコンをいじりながら眠りに落ちた。らしい。 そのまま狭い厨房で真後ろに落ちた。らしい。 ハイネケンの生ビールの樽のフチに左後頭部を強打した。らしい。 それで意識が戻った。ようだ。 そしてその時、冒頭のような鈍器で襲撃された妄想が脳裏を走ったのである。 左右を見ても真っ暗だった。 (あ〜ぁ、またやっちゃったかぁ、クソッ) 真っ暗だと思っていたのは間違いで、冷蔵ショウケースの灯りが付いている事がわかり始める。後頭部強打で、所謂目の前真っ暗状態だったようだ。 もぞもぞと起き上がり、 (さァ、もう帰らなくては) パソコンのスイッチを切ろうとしたら、キーボードの上に何かがポタっと落ちる。 (ん?) ポタ・・・ポタ・・・・ポタ・・・首のところが生ぬるい。 (血か!?) 首筋に当てて診た手を見ると真っ赤ッ赤。 (マイッタナ) 流しの上に首を出すと、ポタポタと落ちる血。ティッシュに手を伸ばし、首筋をぬぐう。何枚もの血染めのティッシュが捨てられる。 水で、傷口付近を洗う。流れる赤い水。酒を飲んでいるせいか、血が止まらない。 10分程して、血が止まった。 (イヤイヤ、マイッタナ。とうとう怪我しちゃったか、こんな飲み方も考えなきゃいかんな) パソコンに付いた血を拭き、周りに飛び散った血を拭き、 (証拠隠滅を図る殺人犯のようだな、俺) ふと見ると、ハイネケン生ビール樽の下に直径20センチ程の血溜まりが在るのを発見。 (なんだ、こんなに出血してるのか。てことは俺暫く寝ていたのか?) ふと見るとシャツの左肩口の辺りに血がたくさん付いている。 (あーあ) トイレの鏡で顔を見ると、左半分が血だらけ、 (なんか、カッコイイな。流血しながら戦う戦士のようだ) 拭き取る。 一通り片付けて店を出る。 血が付くといけないのでジャケットは着ないで手に持つ。 早朝すれ違う人が、血だらけシャツの俺を異様な顔で見る。 家に帰り、血が止まっているのを確認して、枕に血が付かないようにタオルで頭を巻き、寝る。 起きて、夢でなかった事を確認。 まーーーーーーぬーーーーーけーーーーーーーーー! 今日は、早めに店に行ってもう一度現場確認片付けが必要だな。 |