トップ・ページ一覧前ページ次ページ


2006年08月19日(土)・「休日の事」
 今月から木曜日をワイルドバンチの定休日にした。

 俺の知っている飲食店経営者の中には、
”年中無休 17:00〜26:00”
”日曜定休 17:00〜30:00”
などという化け物のような働き者が居る。
 営業時間が上記だという事で、少なく見積もってもプラス3時間は働いているだろう。

 俺のやっている、
”木曜定休 18:00〜27:00”
なんか、甘甘チャンなのだ。

 昔は、
”年中無休 11:30〜23:00”
 などという事をこなしていた時代もあったが、正直体力減少している。
 こんなことを言うと、「弱気になった」とかガタガタ言う奴が居るかもしれないが、現実をきちっと見据えると、老化という事実は事実である。


 経済的に俺の本職はワイルドバンチ経営だが、精神的に俺の本職は俳優業である。
 2足のわらじを履いてているつもりは無いのだが、結果的にはそうなっている。 
 世間で、俺の事を俳優と認める人は、ほぼゼロ。実際殆ど仕事していない。世間的認知としては、ワイルドバンチのオヤジ。
 現在俳優業は事務所に籍を置いているものの開店休業状態で、時々アルバイトをするが如く、事務所を経由しない小さい仕事をする。こんな状態が長いこと続いている。
 この状態に満足しているわけではないが、今までやってきた事の現時点での結果であり、そのことは不満を言うことなく受け入れる。
 しかし実際、現実に大きく流されている自分には大いに不満があり、腹が立つ。
 そしてそれは、誰のせいでもなく全て自分に起因するという事も良く分かっているつもりだ。

 トレーニングをする時間が取れない。ことに今の店を始めて腹が出てきた。
 勉強する時間が取れない。最近本を読まない。映画を観ない。演劇を観ない。
 そのほか、やりたい事は一杯あるが、殆ど出来ていない。

 この問題を全て解決する方法は、俳優業で生活を成り立たせる事で在るのだが、今の私には現実的とは言えない。
 時間が取れないというのは本来、時間を取らないと置き換えるべきもので、実は気力不足、体力不足が根底にある。

 そして、現実と目的のハザマでうごめく私の俳優指数は、下降線をたどる一方である。

 この下降を食い止めるために休日を設定した。疲れを取るために休日を作った。
 別に、店が繁盛していて休む余裕が出来たとかそういうレベルではなく、少しは俳優という自覚の元に自分を研磨する時間を作り出さねば自分はこのまま潰れるという、自己脅迫観念のようなものに後押しされて、休日を作った。
 周りには新たに様々な負担を強いる事になるだろうが、私と拘わったからと諦めてもらうしかない。若ければ出世払いなどとうそぶいていればよいのだが、気休めは言わない。
 貧困がイヤならば、俺と心中する覚悟が無いのならば、違う人生を歩むが良いだろう。
 自分勝手だと言われれば、その通りである。

 休む事によって、体力の回復を期し、何かをしようという気力を奮い立たせる。
 お店だって、疲れきった今の俺の顔を晒し続けるのは良くない。

 休日を作って多少疲れが取れて気力が湧いたとしても、その先に道標やゴールが見えているかというとそうではない。
 ゴールの位置も方向もわかっていないマラソンを走っているようなものかもしれない。今までもずっとそうだった。
 元来、人なんか皆そんなもんかもしれない。

 だが方向が合っていようが間違っていようが、何もせず座して朽ちるのを待つよりはいいだろう。
 俺はそう思う。
 だから休日を作った。

 そして、何故このような事を書き記したかといえば、ちょっと疲れている自分を奮い立たせるためである。



トップ・ページ一覧前ページ次ページ