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2004年08月31日(火)・「タクシー3」

 俺は乗ってしまった。
 また乗ってしまった。
 中々選ぶのは難しい。
 大当たりと言おうか、大はずれと言おうか・・・。
 久しぶりに乗ってしまった。
「なめたタクシー」

 ボディに地元の車庫地が書かれたタクシー。
 行き先を告げる。
「どちらから行きますか?」
「どっちでもいいよ、任せるから」
「・・・・・どうしますかねぇ・・・どう行きますか・・・・・」
「じゃ、ここまっすぐ行ってから、ちょこちょこっと環八に出て下さい」
「あぁ・・・はい・・・・・」

 つかみ所の無い話し方をする運転手だったが、地元のタクシーなのでそれ以上細かい事は言わなかった。

 そいつはいきなり変な方向に曲がった。
「?」

「こっちに曲がったの?」
「・・・・・・」

 だんまりの運転手。
 こっちじゃよく無かったですか?くらい聞けよ。
 お前、分かってて走ってるな。
 こういう舐めた運転手には、私はいきなり横柄になる。
「おい!運ちゃん。そこ右に曲がれ」
「・・・・」
 右折。
 少し走って、運ちゃんウインカーを出して曲がろうとする。
「曲がるな、まっすぐ行け」
「あぁ・・・・・はい」

「こーしろ」
「そーしろ」
「あーしろ」
「どーしろ」
「止めろ」
「あと20メートル先だ」
「領収書」

 以前のように、地元の運転手のくせになにやってんだ!とは怒鳴らなかった。
 怒鳴らなかった分、俺も大人になったのか?丸くなったのか?

 最近世の中、あまりにもこんなことが多くて怒ることにも疲れてきたような気もする。
 老けてきたのか?

 カミサンは、
「途中から運転手さん、かなりびびってたよ」
「そうか?」
「かわいそうなくらい」
「そんなの知るか。てめえがワリィんだ」

 金額の問題じゃないんだ。
 そのこすっからい精神に腹立つんだ。


 そうだ!
 良い事を思いついた!!
 お抱え運転手を雇って、タクシーなんかに乗らなきゃ良いんだ!!!


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