「人の不幸は楽しいですよね、マスター」 酔ったお客様の軽口発言なので流しとけば良いのに・・・・・。 ほっとけば良いのに・・・・・。 「いや、それは、やめた方がいい。その考えは、やめた方がいい」 と答えてしまう私。 いちいちがっぷリ四つに組まなくても良いのに・・・・・。 でもね、こんな会話に日本の、いや、地球の、将来が掛っているのですよ。私流に言えば。 「そうですかぁ?面白いじゃないですか」 「いや、やめといた方がいい」 「自分が困っていれば大変だけど、人が困っているのは見てて楽しいじゃないですか」 「いや、やめといた方がいい」 「そうっすかぁ〜?」 「やめといた方がいい」 「でもよくテレビ見ててもよく言うじゃないすか」 「やめといた方がいい。――――テレビなんかで、馬鹿がそういう内容の発言をして、受けたつもりになっている事があるけど、あれは間違いだ」 「僕面白いと思うんですけど・・・」 「やめといた方がいい、それは間違いだ。一緒に馬鹿になる必要は無い」 「――――」 「テレビの影響力はとてもでかいけど、テレビで言っている事が全て正しいと思うのは間違いだ。受けた事が正しいとは限らない」 一緒のお連れさんは私サイドのようで、私が言葉を発するたびに深く相槌を打つ。 (気付けよ。あなたの人生にとって、非常に大きな問題だぞ、この会話。今なら、まだ間に合うぞ) 俺は、お節介。 人の痛みは、自分の痛み。 人の不幸は、自分の不幸。 人を傷つける事は、自分を傷つける事。 でもね、口じゃァこんな事言ってますが、 「ざまぁ見やがれ!」 なんてよく思うんですよ。 私。 未熟者。 |