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2003年09月10日(水)・「頑張れ石原プロモーション」
 私は十数年前、一年間ほど石原プロ社長渡哲也氏の影武者をしていた。
「警視庁捜査第8班・ゴリラ」という石原プロ製作、テレビ朝日放送作品の時のことである。
 影武者の仕事はスタンドインと呼ばれ、同じ髪型、同じサングラス、同じ衣装でテスト時の位置取りを決めたり、アクションシーンの段取りを決めたりする。
 車の運転、ヘリからの狙撃、スタント等、顔の分からないロングショット撮影のときは本番もこなすというものである。
 同じ台詞を覚え、撮影現場に同行していた。

 実際遠めにはそっくりだったようで、スタッフに、
「小野ちゃん、ファンサービスだよ」
と言われて撮影見物の人に手を振ると、渡さんだと思って皆大喜びして跳ね上がっていた。
 付き人のきよしさんや、スタッフまで
「社長」
と私に声を掛け、渡さんと間違えることがよくあった。

 この仕事をやると決まった時、回りからは随分羨ましがられた。
 しかし、私は俳優として影に回ることに抵抗があり、嬉しいとは感じていなかった。正直言って嫌だった。

 しかし現場に出て渡さんの人格に触れ、初めてこの仕事をやれて良かったと思った。
 オーラが違う。
 包んでいる空気が違う。
 無言で人を理解させる静かな迫力のようなものを感じた。
 その人格に触れることが出来ただけでも勉強になった気がした。

 そしてそればかりではなく、これからそうなって行くだろう舘ひろしさんや神田正輝さんとも一緒に仕事が出来たこと。
 名物の小林専務はじめ超一流のスタッフ、超一流の競演陣に触れることまで出来た。
 現場は勉強になることばかりだった。

 私は、現場を知ってから渡さんはじめ石原プロの大ファンになった。
 勿論そんな思いは誰に告げるわけでもない。


 影武者をやっていたため、「ゴリラ」にも数回出演させてもらった。
 その後の「代表取締役刑事」「愛しの刑事」にも呼んで頂いた。
 今思えば、いくら感謝しても足りないくらいだと思う。




 先月石原プロが「西部警察2003」の撮影中に事故を起こした。
 劇用車が本番のとき、撮影を見学している人の中に突っ込み5人くらいの人が怪我をした。
 中には重症の人もいたようだ。早期回復をお祈りする。

 勿論、即刻撮影中止。
 作品も、石原プロ側の要請で打ち切り。
 完成していた第一話もお蔵入りのようだ。

 金銭的損失は勿論大きいだろうが、私としてはこの決定を何か理由をつけて翻して欲しくない。
 仕切り直しをして、次の作品に勝負を掛けて頂きたい。

 お蔵入り作品は、時が来るまで眠らせておいて欲しいと思う。


 なぜなら。
 それが私の知っている石原プロだから。




 そんなことは無いだろうが、もし石原プロからSOSが来たら私は全面的に協力する。
 渡さんが、
「小野ちゃん、ちょっと来てくれ」
と言おうものなら、おっとり刀で駆けつける。

 こんな男がいる事が今後の石原プロの活力に繋がれば、それだけでもいいではないか。

 頑張れ!渡哲也!!

 頑張れ!石原プロモーション!!
                 


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