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2003年07月29日(火)・「握力」
 かつて20代の後半頃、私の握力は右82〜83kg、左75〜76kgあった。


 先日背中が痛くて、地元の後輩のやっている接骨院にいった時のこと。
 私は、昔ながらの握力計があるのを見つけた。
 銀色の握りの先に、黒地に白い目盛りが細かく書かれた丸い表示板が付いている。
 二本ある針が握られた強さまで回り、一本の針は離すと同時にゼロのところまで戻り、もう一本の針が最高点に置き去りにされて記録が残されると言うやつだ。
   「今の俺は、握力どれくらいあるのだろう?」
 素朴にそう思った私は、右手でおもむろにその握力計を握り、ふんーっと息を吐きながら気張って力を込めた。

 ふーっと息を吐き、握り方終了。
「どれくらいあるかなぁ?80いくつとはいわないが、60kg後半から70kgぐらいまであるかなぁ?」

 記録・・・・・55kg。
「あれ??おかしいな」

 なんか握り方が悪かったのかな。もう一回やってみよう。
 ふんーっ。
 記録・・・・・57kg。
「あれれれ????でも、まぁちょっとあがったか」

 よし!もう一回。
 ふんーっ。
 記録53kg。
 よこでニコニコ笑いながら見ている後輩。
「おかしいなー、おれ全盛期右80キロ越えていたんだぜ」
無言の後輩。
「これ正確?これ壊れてない?」
「30%位ダウンですね」
 ショーーーーーーーック、ショック、ショック、ショック。
 大大大大だぁーーーーーーーい、ショック。


 そりゃ、ここんとこ運動する時間もほとんど取れていないけど、こんなに落ちていたとは。

「でも55kgあれば大したもんですよ。今からでもトレーニングすれば、先輩の歳でも10kg位すぐ戻りますよ」
と後輩。
 いいよ、慰めは。



 翌日。
 背中の痛みはほとんど無かったが接骨院へ。
 ひととおり治療を受ける。
 そして再び握力測定。昨日の間違いを訂正するのじゃ。ほんとは今日はそのために来たのじゃ。

 結果。
 そーれ見たことか・・・・・前日と変わらず。
「おいっ!本当に壊れているんじゃないか!?」
と、のど元まで出掛かったが俺の理性がそれを抑えた。

 筋肉の老化を目の当たりにした私は、現実を受け入れつつ寂しい後姿を残して接骨院を後にした。


 でもなぁ―――でもなぁ―――で・も・な・あ。
 あの握力計は、絶対こわれてるぞ!!!!!!!!!!!!
     


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