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2007年03月08日(木)・「いざ鎌倉・決行編」
「オイ、7時40分に起こしてくれ」
 起こされた記憶はある。・・・・が、起きたのは8時40分。

 昨日、決意表明、計画発表しておいて良かったと言おうか・・・・・・公表してなかったらこの寝坊した時点で、ウ〜〜〜〜ん次の機会にするかぁ〜、となるのが私の常。
 私の計画公表意図は、正しかった。

9:00 出発。
 天気快晴。
 頭の中睡眠状態で、夢遊病のようにフラフラと家を出る。
 フラフラと歩く。
 イカンイカン、1時間出発遅れたから取り戻さねば。
 加速。

 沼部駅を横目に多摩川沿いへ出る。
 丸子橋渡る。
 綱島街道をヒタスラ下る。
 新丸子、武蔵小杉、元住吉、日吉、綱島、大倉山。
 普段、多摩川河川敷ばかり歩いている私にとって、街道は車の排ガスがうっとおしい。歩道も狭くて歩きづらい・・・ブツブツ・・・ブツブツ・・・・日差しがキツイ・・・ブツブツ・・・・ブツブツ・・・喉が渇いてきた。

 自動販売機でダイドードリンコ株式会社の、商品名忘れた海洋深層水100%を買う。
 歩きながら初めて飲む海洋深層水、ワクワク、ドキドキ。
「ゴクリ」
 ―――。
 ・・・・・ただの水じゃん。
 海水100%なのに何故しょっぱくないんだ?
 深層水には塩分が含まれていないのか?
 いや、そんなことは無ぇだろぅー。
 海の水は、しょっぱいだろー。
 ダイドーさんよーー、ドリンコさんよーーーー、どういうことですかい?

 大豆戸で右折。環2に入る。
 大豆戸の読みは「まめど」。
「大」は、何処行っちまったですかい?
 どう読んでも「おおまめど」だと思うんですが。

 新横浜を通過。
 ヒタスラ歩く「いざ鎌倉」。
 この時一つの単語が頭をよぎる。

「いざキャバクラ」

 別に私はキャバクラが好きなわけではない、いや好きかもしれない、いや、若いオネーちゃんなら・・・・・喝!、妄想を断ち切る。ヒタスラ歩く。

 環2は歩道が広くて歩きやすい。東京と違って人も少ない。
 地図を見るだけだと私は、全ての道は平坦で同じ高さのように錯覚をする。
 しかし、環2は山を上り谷を越え様々な景色を見せる。
 歩いていて楽しい道だ。すがすがしい。

 このままノンストップで「いざ鎌倉」だ!

13:00 東戸塚の辺り。
 環2般若寺と言う信号を越えた辺りでフクラハギに違和感、マズイ。
 ベンチを発見、10分休憩。足の屈伸、膝回し、アキレス腱伸ばし。

 正直なところ、体力気力の部分で言えば大したことをやっているわけではないので、今回の行軍において何も心配は無い。だが一点、私が恐れているのは怪我、古傷再発。
 しかしこの時点で、途中でどこかが痛み出しても最後まで歩きぬく事を新たに決意。

 環2日野立体交差点右折、鎌倉街道に入る。
 鎌倉が近づいてきた事を実感。
 自動販売機で伊藤園のお茶を買う。グビグビ飲む。
 太陽光が熱い、顔が焼ける。
 よく巷でウォーキングオバちゃんが、でかいサンバイザーで顔を隠している間抜けな格好を見かけることがあるが、少し理解。

 公田、鎌倉女子大前を通過。
 この辺りは、10代20代の頃よく車で通った。懐かしい。
 小袋谷の信号を左折。この辺りから雰囲気はカマクラという感じになってくる。
 近頃流行を追うことも無くなった私だが、この間TVで歌っていたコブクロというデュオの背の高い方は良いなと思った。

 小さな公園で10分休憩。足の運動イチ、ニ、サン、シ。
 伊藤園のお茶を飲み干し、そのペットボトルに水を補充。鎌倉の生水は大丈夫だろうか?なんてことが頭に浮かぶが、知るか、ほっとけ、あたってたまるか。
 しかし、鎌倉も名観光地とはいえ閉めている店舗が目立つ、まだまだ不況なんだな、そんなことをぼんやりと考える。
 北鎌倉駅通過、円覚寺駐車場脇の公衆トイレ拝借。
 観光客がいる。観光地だから当たり前。気がつくと観光客と同じゆっくりとした歩調になっている。イカンイカン、加速加速。
 
15:10 鶴岡八幡宮前に到着。
 今の今まで、私はここを鎌倉八幡宮と言う名称だと思い込んでいた。鶴岡八幡宮なんだ、ふぅーーーーン。
 この「八幡宮前」の信号のところにある土産物屋の駐車場で、俺が若かりし頃コロコロとしたオバちゃんが、
「どうぞー、どうぞー」
 という風に、いつ通りかかっても通りかかる車全部に駐車場の入り口で手招きをしていたっけ。生きてりゃ90歳ぐらいになるんじゃなかろうか。今日は手招きをするおばちゃんではなく、ガードマンの格好をしたおじちゃんだった。息子さんだろうか?

 参拝。

 参拝を終え再び八幡宮前の信号。
「すみません」
「?」
 年の頃なら60才くらいのご婦人が、
「鎌倉の駅はどう行けば良いんですか?」
「あーーーーー、私、北鎌倉のほうから歩いてきたんで、チョッと分からないんですけど」
「あ、わたしもなんです」
「すみません、分かりません」
そのご婦人は、お前ホントは知ってんじゃねぇのかぁ〜〜〜〜、とでもいうような目を俺に向けながら離れていった。
 若宮大路を歩いていくと、すぐに鎌倉駅入り口と言う信号にぶつかった。こんな近くにあったんだ。ご婦人はココに無事来られるだろうか。

 海だ!
 海だ!
 気がつけば海を見たのは何年ぶりだ。
 俺は何かどこかに閉じ込められていたんじゃないだろうか。
 海だ!

16:00 滑川の信号を渡る。
 由比ガ浜の駐車場が地下になっている!
 浦島太郎な私は、駐車場が地上にあるときしか知らない。
 昔駐車場だったところで、先程セブンイレブンで買ったおにぎりを食す。何故鎌倉に来てまでもセブンイレブン。悲しい気持ち。物を食べていると観光客馴れした鳩が寄ってくる。何かよこせよと言わんばかりに膝の上にまで乗って来る。俺は馴れ馴れしい奴は嫌いなんだよ。
 休憩10分、足の運動。
 足のあちこちに違和感あり。だがあともう少し。

 海だ!
 お約束の、夕陽と砂浜歩き。
 様々な人が歩く。アベック、高校生、革靴のサラリーマン、おじさん、おばさん、子供、犬、そして俺。  アスファルトの上を歩くより、足に優しい。

 国道134号線沿いを歩く。
 稲村ヶ崎、七里ヶ浜、腰越海岸、江ノ島海岸、江ノ島弁天橋、江ノ島。

17:20 目的地、江ノ島湘南港桟橋駐車場。
 無事到着。
 推定歩行距離50キロメートル。
 所要時間8時間20分(休憩含む)

 何故か達成感のようなものは、あまり感じられない。淡々とした自分がそこにいる。
 正直なところ、目的地到着よりも、由比ヶ浜で海を見たときのほうが到達感あった。

 堤防が俺の知っている堤防ではなくなっている。ここでも時間の経過を感じる。

 磯に出て海と対話。
 海は良いよな。
 海と話すために来たような巡り合わせを感じる。
 きっと今回の目的はこれだったんだ。
 何か漠然と大きな理解が私を包む。

17:40 帰路に着く。

 江ノ島神社にお参りをして、小田急片瀬江ノ島駅へ。



 何故か昨日ハタと思いついて突然歩いた。
 ただヒタスラ歩いた。
 楽しかった。
 10代20代の頃の懐かしい記憶がたくさんよみがえり、今の自分が忘れてしまっている何かを思い出させてくれたような気がする。
 ただ歩くと言うこんな詰らない事に楽しみを見出せるなんて、俺は簡単な構造だ。

 歩くこと以外何のアテも無く歩いたが、後付け的に目的があったことを知る。
 その先に何があるかは分からないが、何か人生のポイントを通過したような気がする。



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