今日は、お休み定休日。 「今日の予定は?」 「別に無い」 「何にも予定無いの?」 「―――歩く」 「歩いてくるの?」 「―――おぅ」 「今日は何処まで歩くの?」 「ん?」 「どの辺歩いてくるの?」 「うん、ちょっと・・・・・」 「どの辺?」 今日に限って、深く聞いてくる。 「―――・・・・・東京ドームまで行ってくる」 「ぇえ!?東京ドームまで!?」 「あぁ」 「そんなとこまで、何しに行くの」 「歩いてくる。―――東京ドームまで行って、―――・・・・・・当日券でBilly Joelのコンサートを聴く」 「あぁ、そう」 平静を装うカミさん。 そう、今日はビリー・ジョエルのコンサートが東京ドームである。 実は予定らしきものは在ったのである。 鼻の利くカミさんは、何かの臭いを嗅ぎつけた。 「当日券あるの?」 「さっきウドーに電話したら、4時から当日券売るって言ってた」 「歩いていくの?」 「そうだ」 「ふぅ〜ん」 この、ふぅーん、に妙な圧力が込められている。 「―――わかったよ。・・・もし、2枚以上残っていたら、お前の分も買ってやるよ」 「ホント!」 「―――最後の一枚だったら俺一人だ。売り切れてたら俺一人でどっか行って来る」 さっき電話に出たウドー音楽事務所のオネエチャンの口ぶりだとカナリ残っていそうな感じだった。しかし、カミさんの分も買うと確約して後で無いなんて事になると面倒な事になるので、券は無いかもしれない様な事も一応匂わせておく。 しかし、カミさんは、いけると確信している。 「メール入れてね」 「4時から当日券売り始めるんでしょ」 「何時間くらいで向うに着くの?」 「出られるように準備して待ってるから」 「4時半くらい?」 「早く出たほうがいいんじゃない」 地図で見ると直線距離で約15、3キロ。 行軍予定3時間。 少し雨がぱらついていたので出発が1時間ほど遅れる。 13:50 出発。 中原街道を上る。 五反田を越えてから、国道一号線に入る。 東海道から溜池経由、国会議事堂を左に見て半蔵門の門番に会釈されながら靖国神社へ抜ける。 するとまもなく目的の地、東京ドーム・シティ。 16:45 推定道のり18キロ、着到。 当日券売り場発見、行列無し。ガードマン3人、スタッフ3人の窓口外側販売体制。それとブースの中に3〜4人の見えない発券担当。 当日券売り場に近づく俺を発見するガードマン3人、スタッフ3人。俺を見詰める12個の目玉。 (よっしゃ、カモ接近、カモ接近。気をぉ付けぇ) (総員配置ぃーっ) (笑顔準備ぃーっ) (笑い方、始めーっ) 「これはこれは」 「ビリー・ジョエルのコンサートですか」 「どーもどーも」 「2番の窓口へどーぞ」 「何枚ですか?」 (まぁさか1枚なんて、ケチな事はおっしゃらないでしょうな) 「2枚!」 (よしよしよしよし) 「2万一千円です」 (お買い上げぇーーー、ドンドンドンドン) 「お帰りは、こちらからぁ〜〜〜」 (買ったらとっとと退きなさ〜〜い) 「コンサートは5時半開場、7時開演でーす」 東京ドームだと、券が9割さばけて残り後1割なんていっても、5千枚くらい残るわけなんだよな、と妙なところに考えが行く。 カミさんにメール、 「すぐ来い」 しばし周辺散策。 18:10 カミさんと合流。 ビール、日本酒、日本酒、チャーシュー、餃子、シュウマイ、味噌らーめん。 「よし、行くぞ!」 18:40 3、170円 ところが、東京ドーム22番ゲートは大混雑で入れない。人人人人、人波人垣。 「おい!!始まっちゃうじゃないか!!!」 「えぇ〜〜〜〜〜〜、バッグ等をお持ちの方は手荷物検査をいたしますので、バッグの口を開けて手荷物検査にご協力をお願い致します〜〜〜」 「おい!!早くしろ!!!!」 「えぇ〜〜〜〜〜〜、バッグ等をお持ちの方は・・・・・・・・」 「おい!!」 「えぇ〜〜〜〜」 19:05 ようやく入場。 19:10 着席。当日券の割には良い席。野球で言うところのバックネット裏。でもバックネットが邪魔だ。何故退けん。 19:15 開演。大歓声。 生ビール800円、買うの辞めた。 ビリーの身長2センチ5ミリ。遠くて見えん。左右にデカ・モニター。 21:00 終演。 21:10「イタリアンレストラン」アンコール終演。 21:20「スキヤキ〜ピアノ・マン」5万人の大合唱。再アンコール終演。 場内アナウンス。 「本日のコンサートおしまいね、混乱するので規制退場、順番守れ、グッヅ買え」 ビリー・ジョエル良かった良かった良かった良かった。 東京ドーム”ビリー・ジョエル温泉”につかって、音楽三昧、ビリー三昧。疲れも取れる今日一日。 その後、中目黒H、自由が丘A、自由が丘Dと飲み続け、家に帰って飲んで寝る。 私は、明日から倹約生活を強いられる。 |