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2002年10月23日(水)・「ある日蕎麦屋で」
 この間、カミさんと蕎麦屋で一杯やりながら夕飯を喰った。
 まずは穴子の天ぷらと牡蠣フライで、ビール。
 そして日本酒、数杯。
 最後は、蕎麦を食いながら蕎麦焼酎の蕎麦湯割り。

 この食事の最中、一組の若いカップルが店に入ってきて隣の席に座った。

 20代前半くらい。
 二人とも顔が黒い。真っ黒け。
 女性の顔がでかい。物凄くでかい。
 女性の化粧の仕方が、でかい顔をさらにでかく見せている。目の回りに白いペンキが塗られている。 ちょっと前に話題になったヤマンバ・ギャルの生き残りか?
 男性は、おとなしそう。
 男性の印象度は、女性の十分の一くらい。
 女性のしゃべりは、
「あたしぃ〜」とか「だってぇ〜」とか「うっそぉ〜」とか・・・。


 二人仲良くしゃべっている。
 しかし途中で、イースター島のモアイ像に秋田のナマハゲ・メイクが、
「この間、食べた***が、ゲロみたいでぇ〜」
 と、嫌な事を思い出しているくせに、嬉しそうに話し出した。

 周りにサッと気まずい空気が流れる。
 連れの男性は、”オイ、ヤメロヨ”という顔をしているが、無言。
 さらにマサイ族のでっかい盾は、
「ほんとにぃ、ゲロみたいだったんだからぁ〜〜」
 なぜか声がさっきよりでかい。

 ちょっと前なら、
「お前ら、うるせえよ」
と言っているところだが、私はこらえた。

 しかし日本の、一見チャラチャラひ弱そう青年も捨てたもんではない。
「おまえさー、その話やめろよ」
「なんでぇ〜〜〜?」
「いいから」
「どおしてよぉ!ほんとにゲロみたいなんだからぁ」(まだ言うか!)
 モアイ・ナマハゲ・でっかい盾は、話しを切られてムッとしている。
「-----あのね、こういう、飯を食う所で、そう云う話しをするんじゃないよ」

 モアイ・ナマハゲ・でっかい盾、渋々納得。話題転換。馬鹿ではない。
 店内には、平和な空気が戻る。めでたしめでたし。


 さて、このちょっとした光景で私が感じた事。

・日本の一見ひ弱青年も、芯はしっかりしているかもしれない。

・女性は何故でっかい顔なのに、さらに顔がでっかく見えるようなメイクをするのか?
 現代日本の若い女性は、でっかい顔に憧れているのだろうか?

「あなた、大きい顔ね」
 というのを
「あなた美人ね」
 とか、
「あなたかわいいわね」
 と同じような次元でとらえているのだろうか?
 もしそうだとしたら、価値観の変化に私は遅れているのかもしれない。

 だが仮にもし美の基準が、大きさに比例するのだったらこんなに分かりやすい事は無くて、いい事かもしれない。
 ”美しい”とか”かわいい”という曖昧なものが、センチメートルで表現できるようになるのだから。
 30センチの美人とか、35センチの美人とか表現するようになるのだろうか?
 もう、どっちが美人かなどと争う事は無くなる訳だ。
 両者を連れてきて、実測すればすぐわかるのだから。
「Aさんの方がBさんより2ミリ美人でした」
 なんて。

 でも縦を測るか、横を測るかで揉めるかもしれないな。
 美人測定委員会みたいなのが出来て、測定ルールの統一が図られるかな。

 女性は、少しでも顔が大きく見えるようなメイクをしたり、豊顔手術をしたり・・・。
 新弟子検査の相撲取りみたいに頭にシリコン入れたりして。おでこに3センチ、あごに2センチ、ほっぺたに左右2センチずつ。恐ろしいーーー。
 しかし、こういう価値基準だったらモアイ・ナマハゲ・でっかい盾は、かなりの美人だな。

 いや、一人を見て全てを判断して、こんな妄想を膨らませてはいけない、いけない。
 価値観は、場所と時代で異なるものだから。決め付けるのは良くないな。
 もう少し若いおネーちゃんを、しっかり観察せねば。
 時代を見極めねば。
 

 そんなドーでもいい事を感じた、ある日の蕎麦屋さんでした。
         


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