この間、カミさんと蕎麦屋で一杯やりながら夕飯を喰った。 まずは穴子の天ぷらと牡蠣フライで、ビール。 そして日本酒、数杯。 最後は、蕎麦を食いながら蕎麦焼酎の蕎麦湯割り。 この食事の最中、一組の若いカップルが店に入ってきて隣の席に座った。 20代前半くらい。 二人とも顔が黒い。真っ黒け。 女性の顔がでかい。物凄くでかい。 女性の化粧の仕方が、でかい顔をさらにでかく見せている。目の回りに白いペンキが塗られている。 ちょっと前に話題になったヤマンバ・ギャルの生き残りか? 男性は、おとなしそう。 男性の印象度は、女性の十分の一くらい。 女性のしゃべりは、 「あたしぃ〜」とか「だってぇ〜」とか「うっそぉ〜」とか・・・。 二人仲良くしゃべっている。 しかし途中で、イースター島のモアイ像に秋田のナマハゲ・メイクが、 「この間、食べた***が、ゲロみたいでぇ〜」 と、嫌な事を思い出しているくせに、嬉しそうに話し出した。 周りにサッと気まずい空気が流れる。 連れの男性は、”オイ、ヤメロヨ”という顔をしているが、無言。 さらにマサイ族のでっかい盾は、 「ほんとにぃ、ゲロみたいだったんだからぁ〜〜」 なぜか声がさっきよりでかい。 ちょっと前なら、 「お前ら、うるせえよ」 と言っているところだが、私はこらえた。 しかし日本の、一見チャラチャラひ弱そう青年も捨てたもんではない。 「おまえさー、その話やめろよ」 「なんでぇ〜〜〜?」 「いいから」 「どおしてよぉ!ほんとにゲロみたいなんだからぁ」(まだ言うか!) モアイ・ナマハゲ・でっかい盾は、話しを切られてムッとしている。 「-----あのね、こういう、飯を食う所で、そう云う話しをするんじゃないよ」 モアイ・ナマハゲ・でっかい盾、渋々納得。話題転換。馬鹿ではない。 店内には、平和な空気が戻る。めでたしめでたし。 さて、このちょっとした光景で私が感じた事。 ・日本の一見ひ弱青年も、芯はしっかりしているかもしれない。 ・女性は何故でっかい顔なのに、さらに顔がでっかく見えるようなメイクをするのか? 現代日本の若い女性は、でっかい顔に憧れているのだろうか? 「あなた、大きい顔ね」 というのを 「あなた美人ね」 とか、 「あなたかわいいわね」 と同じような次元でとらえているのだろうか? もしそうだとしたら、価値観の変化に私は遅れているのかもしれない。 だが仮にもし美の基準が、大きさに比例するのだったらこんなに分かりやすい事は無くて、いい事かもしれない。 ”美しい”とか”かわいい”という曖昧なものが、センチメートルで表現できるようになるのだから。 30センチの美人とか、35センチの美人とか表現するようになるのだろうか? もう、どっちが美人かなどと争う事は無くなる訳だ。 両者を連れてきて、実測すればすぐわかるのだから。 「Aさんの方がBさんより2ミリ美人でした」 なんて。 でも縦を測るか、横を測るかで揉めるかもしれないな。 美人測定委員会みたいなのが出来て、測定ルールの統一が図られるかな。 女性は、少しでも顔が大きく見えるようなメイクをしたり、豊顔手術をしたり・・・。 新弟子検査の相撲取りみたいに頭にシリコン入れたりして。おでこに3センチ、あごに2センチ、ほっぺたに左右2センチずつ。恐ろしいーーー。 しかし、こういう価値基準だったらモアイ・ナマハゲ・でっかい盾は、かなりの美人だな。 いや、一人を見て全てを判断して、こんな妄想を膨らませてはいけない、いけない。 価値観は、場所と時代で異なるものだから。決め付けるのは良くないな。 もう少し若いおネーちゃんを、しっかり観察せねば。 時代を見極めねば。 そんなドーでもいい事を感じた、ある日の蕎麦屋さんでした。 |