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2001年11月14日(水)・「踊るな、日本」
 アメリカでまた旅客機が落ちた。テロか事故か不明。
 タイミング的には最悪の時期である事に間違いはない。先日のアメリカ中枢同時テロ以来落ち込んでいた、飛行機 の乗客数が回復し始めていたときなのに、人はこれでまた不安になるだろう。
航空業界をはじめ打撃を受ける業界、もしくは少なからず影響を受ける業界は多数出るだろう。そしてそれが世界 不況を増幅させてしまうだろう。

   北部同盟、首都カブール占領、奪還。
   アフガニスタンでの戦闘は、アメリカの無差別爆撃の助けを受けて北部同盟が攻勢に出ているが、単純な陣取り合 戦という図式では進まないのではないだろうか。
 このまま北部同盟がアフガニスタン全土を制圧しても、新政権が簡単に樹立されるとは考えにくい。
 タリバン政権が、戦闘の泥沼化、ゲリラ戦への突入を視野に入れていると見るのは当然の事である。
 もし北部同盟が全土を制圧しても、「アラビアのロレンス」を見れば分かるように、多民族同盟はまとまりに欠け る部分が多いからどうなる事やら。
 特定の民族、部族が主導権を握ろうとしたり、外国排除の動きが出てきたり、頭をかかえる事ばかりが、待ってい ると予想される。


     テロ行為は許されない。
 これは、全世界的に一致しているとみていいと思う。
 しかし、今回の事に関してのアメリカ的主張に対しては、賛否両論色々ある。
 特に、イスラム圏での反米気運はかなり盛り上がりを見せているようだ。

   ところで何故日本は、無条件アメリカ派なのだろう。
 日米安保条約による同盟国だから、当然の事だが、私にとってそれだけでは説得力がなさ過ぎる。アメリカの行為 が、筋の通った行為とはどうしても納得できないからである。
 アメリカ人は、自分達が直接やられたのだから、怒るのは当然である。
 しかし、日本は直接打撃を受けたわけではない。(巻き込まれた人はいる)
 当事者同士は、頭に血が上っているから、まずまともな思考力ではない。
 日本は冷静に客観的判断をするべきなのに、アメリカの宣伝をまともに受けすぎているのではないだろうか。

   日本人、日本国が標的にされたのなら、どんな敵に対しても私は率先して戦う。
 しかし隣のアメリカが、いくらあいつは悪い悪いといっても、どこまで信用していいのやら。
 アメリカのやりかた(元々は、ヨーロッパ)というのは、相手に対してギリギリまで追い詰めて、相手に先に手を 出させるように仕向けるところから始まり、実際つっかかってこられたり、アメリカ人に危険が及んだりすると
「アメリカ人がやられそうだから、守るために出撃だ」
「先に手を出したのは、お前だからな」
「アメリカは、やられたんだぞ」
「世界の皆さん、アメリカは正義だ。やり返す事に、文句はないだろうな」
と言う風に持っていく。そして、目的国に親米派があれば、そいつらに肩入れしながら介入していく。
これが、アメリカの常套手段だ。

 今回の事をたとえてみれば、クラスのいじめられっこアラブが遂にぶち切れて、いじめっ子アメリカの事を、後ろ からナイフで刺した、と言う事と同じだと思う。
 やられたアメリカは、本当にやった犯人を見ているわけでもないのに、
「アラブが刺した刺した」
と、大騒ぎをしている。それを見たみんなは、
「でもアメリカは、やられてもしょうがないような事を、普段やってるしな。」
「だけど、アラブもあれをやっちゃ、味方できないよ。」
「今、アメリカに逆らうとおっかねえから、取りあえずアメリカのいう事きくべぇ」
   日本は、
「親分アメリカに逆らって、また原爆落とされたらかなわねえから、アメリカのいう事聞いておかなきゃ。アメリカ はアラブがやったと言わずにビンラーディンて言ってるし。親分が行けって言うなら逆らえねえよな」
 ヨーロッパの奴らは、
「それにビンラーディンとか言ってるけど、アラブ叩きゃあいつら結構金持ってるし、今は貧乏でも地下に財産いっ ぱいあるから。俺達もあの財産取れるかもしれないな」
 戦後の処理に関してアメリカは
「戦後の処理はよ、日本を頑張らしてな、俺達アメリカが直接アラブに入り込むと非難を浴びるから、日本を盾にし て、日本経由でアメリカ流を叩き込み、日本経由で財産吸い取れば良いよ。」
「日本がいくらあそこで儲けても、日本に銭出せって脅かしゃ、日本はすぐ金出すから。今回の戦費も日本に請求書 まわして、渋ったらちょっと脅かしゃ、出すって。絶対出すって」
 それがわかっているロシア、ヨーロッパは、
「アメリカだけに独り占めさせないよ。俺達だって、軍隊送っちゃうからね。そしたら俺達だって権利主張できるん だから。日本を使って調子こくんじゃないよ」

 こんな風に正義の衣をまとった欲望が渦巻いているのではないでしょうか。
 もちろんこんなに簡単に片付けられるものでない事は、百も承知ですが、一側面は捉えていると思う。
 テロ退治を黙認しているアラブの人々も、こころの中で、どれだけアメリカの行動に賛成しているかと言えば、疑 問符だらけだと思う。

  「ビンラーディンのやり方も悪いけど、アメリカもなー」
 こう思っているアラブ、イスラムの人々が、表立ってアメリカに怒りを向けだしたら事はこじれる。
 パキスタンあたりは、困り果てて内戦に発展してしまうのではないだろうか。

   どうやったら平和解決が出来るのか、日本はどういう行動をとればいいのか、もっとよく考えるべきだ。
 明治維新のときの列強と日本の関係を思い出せば、アラブ諸国の連中の行動は悪いとばかり言い切れないと思う。
 他人の庭を踏み荒らすような奴らの方が、本来非難されるべきものだ。
 日本はいや世界は、アメリカの御機嫌伺いばかりしていては駄目だ。


   先日ローマ法王が、過去の中国におけるキリスト教の布教には、間違いがあったと、キリスト教の非を認める発言 をしていた。
 今の時期に敢えて法王がこういう発言したのは、ブッシュ・アメリカ大統領の十字軍発言に対しても伝えたい意味 合いを強く含んでいると思う。ローマ法王必死の抗議と、私には聞こえるのだが。
 こういう発言が片隅に追いやられてしまう今のマスコミの風潮は、アメリカの攻撃を煽っている一因である。

 日本人よ、冷静に行動するのだ。
 日本は日本であって、アメリカの一州ではない。
 アメリカが太鼓叩いているからといって、日本は調子に乗って踊るんじゃない。


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